第二部 信仰と理性論 | 星加弘文 |
信仰と理性の間で論じられるべき課題を具体化します。
既存の「信仰と理性論」においては、信仰と理性が常に一対一の関係として扱われてきました。しかし「信仰」および「理性」は共にあいまいな概念であるため、これをそのまま対峙させても漠然としたことしか述べることができません。
信仰とは何か、理性とは何かを明確に定義することは困難ですが、キリスト教信仰がいくつかの信仰箇条から成り立つものであり、また現代哲学によれば、理性の働かせ方も多数あるわけではなく方法が限られているというのも確かなことです。
当章では、正統信仰の内容をウエストミンスター信仰告白に尋ね、理性の方法を現代論理学に尋ねて、これらを組み合わせることから得られる二次元表から、信仰と理性間の課題を多対多関係として取り出し、信仰と理性論として何がどのように論じられなければならないかを示します。
その結果として得られる「信仰と理性の多対多対応表」(Section 4)は、当論考全体の見取り図の役目を果たすものとなります。
当章の理性考察には、野矢茂樹著『論理学』に紹介された「直観主義論理」における否定概念の理解を追求したHard studyが含まれており、この部分での難易度が高くなっています。
読解難易度★★★★★ 文字数 187,000字