第二部 信仰と理性論 星加弘文

Chapter 2 信仰と理性の多対多関係

Contents

Section 1 信仰と理性論の全体     
Section 2 信仰の4要素         
Section 3 理性の方法的5区分      
Easy study 1 「真理の対応説」と「真理の整合説」
Easy study 2 古典的演繹 整合説の応用1
2-1 前件肯定式推論       
2-2 真理表           
Easy study 3 実在論 整合説の応用2の1 後件肯定式推論1
Easy study 4 解釈学 整合説の応用2の2 後件肯定式推論2
Easy study 5 構成主義 整合説の応用3
5-1 直観主義論理        
5-2-1 直観主義論理の意味論    
Hard study 5-2-2 「二重否定除去則の拒否」と意味論Ⅱ(5)間の矛盾
5-2-3 「排中律の拒否」と意味論間の矛盾
5-2-4 「証明表」         
5-3-1 「証明表」に見る直観主義論理の世界
5-3-2 直観主義論理意味論と構文論間の矛盾の解決
5-3-3 「否定証明のない命題は必ず証明される」という直観主義論理の奇妙さ
5-3-4 初めの命題設定の肯定否定が帰結を左右する奇妙さ
5-4-1 ラッセルパラドクスの解決としての直観主義論理(集合版)
5-4-2 ラッセルパラドクスの解決としての直観主義論理(命題関数版)
5-4-3 直観主義論理と三値論理
5-4-4 直観主義論理意味論世界「認識史01」
5-4-5 認識史分析         
5-5-1 クリプキ系型証明表         
5-5-2 プレ線型性のためのα型証明表     
5-5-3 ド・モルガン律のための型証明表   
5-5-4 ハイティング代数とクリプキ意味論   
Easy study 6 理性区分のまとめ 実在論的思惟/構成主義的思惟
6-1 仮定導入を認めるか否かによる相違
6-2 議論対象が世界か、世界についての知識かの相違
6-3 真偽としての真理か、証明の可否としての真理かの相違
Section 4 多対多関係としての信仰と理性
Notes             

Summary

信仰と理性の間で論じられるべき課題を具体化します。

既存の「信仰と理性論」においては、信仰と理性が常に一対一の関係として扱われてきました。しかし「信仰」および「理性」は共にあいまいな概念であるため、これをそのまま対峙させても漠然としたことしか述べることができません。

信仰とは何か、理性とは何かを明確に定義することは困難ですが、キリスト教信仰がいくつかの信仰箇条から成り立つものであり、また現代哲学によれば、理性の働かせ方も多数あるわけではなく方法が限られているというのも確かなことです。

当章では、正統信仰の内容をウエストミンスター信仰告白に尋ね、理性の方法を現代論理学に尋ねて、これらを組み合わせることから得られる二次元表から、信仰と理性間の課題を多対多関係として取り出し、信仰と理性論として何がどのように論じられなければならないかを示します。

その結果として得られる「信仰と理性の多対多対応表」Section 4)は、当論考全体の見取り図の役目を果たすものとなります。

当章の理性考察には、野矢茂樹著『論理学』に紹介された「直観主義論理」における否定概念の理解を追求したHard studyが含まれており、この部分での難易度が高くなっています。

読解難易度★★★★★ 文字数 187,000字